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音楽フロンティアみなと 再発見コンサート実行委員会

Author:音楽フロンティアみなと 再発見コンサート実行委員会

南葵楽堂の記憶:
麻布飯倉の(紀州)徳川邸にあったわが国初の音楽専用ホール、そこに併設された南葵音楽文庫についての情報を順次掲載しています。

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「麻布飯倉 南葵楽堂の記憶」第2回コンサートのお知らせ


「麻布飯倉 南葵楽堂の記憶」
<カミングズ・コレクションの至宝から>


●日時:2009年2月1日(日)14時開演・・・★終了いたしました
●場所:JTアートホール アフィニス ≫アクセスマップ

南葵楽堂外観●出演者: ≫演奏者プロフィール
 広瀬 奈緒 (ソプラノ)
 辰巳 美納子 (チェンバロ)
 小林 瑞葉 (ヴァイオリン)
 長岡 聡季 (ヴァイオリン)
 深沢 美奈 (ヴィオラ)
 山本 徹 (チェロ)
 篠田 大基 (レクチャー)

●演奏曲目:
 ベックウィス:ヴォランタリー 第2番
 パーセル:オペラ「インドの女王」より (カミングズ・コレクション所蔵手稿による再現演奏)
   序曲
   ソング〈天にいらっしゃる偉大なる神々よ ― あの人のための苦しみならば〉
 パーセル:オペラ「ダイドーとエネアス」より (カミングズ校訂版による)
   序曲
   〈お前の手を、ベリンダ〉 ― ソング〈私が土に埋められたなら〉
 ヘンデル:チェンバロ組曲 第1巻第5番 ホ長調 HWV430
   プレリュード ― アルマンド ― クーラント ― アリアと変奏(「調子のよい鍛冶屋」)
 スミス:チェンバロ組曲 第2巻第5番 ト長調
   (プレリュード) ― アルマンド ― クーラント ― ラルゴ ― アリアと変奏
 ヘンデル:オラトリオ「メサイア」より (カミングズ・コレクション所蔵手稿による再現演奏)
   アリア〈かのお方は蔑まれ〉
   アリア〈大いに喜べ〉
 スミス:オペラ「アルタセルセ」より (カミングズ・コレクション所蔵手稿による再現演奏)
   アリア〈私は苦しみの海を航行す〉
   アリア〈あなたは私を怒りで追い出し〉


●入場料金:
 前売り 一般 2500円 小・中学生 1200円
 当日 一般 3000円 小・中学生 1500円

●主催:音楽フロンティアみなと 再発見コンサート実行委員会
●助成:港区文化芸術振興基金助成事業
●協力:財団法人読売日本交響楽団
●チケット取り扱い:ソナーレ・アートオフィス




今回のコンサートで演奏する曲目は、紀州徳川家の当主徳川頼貞が、1917年ロンドンのオークションで落札した、当時屈指の音楽コレクションと言われたカミングズ・コレクションのなかから、彼が研究していたパーセルやヘンデルの作品を中心に選曲しています。
また演奏には、これらの音楽が作られた時代の楽器を再現したチェンバロや弦楽器を使用し、その時代の演奏スタイルによって演奏します。
今回演奏される曲すべてが、カミングズ・コレクション所蔵手稿による再現演奏、コレクション収蔵印刷楽譜による演奏。あるいはカミングズ校訂版による演奏で、日本初演であるばかりでなく、世界ではじめて音になる作品も含まれています。くわしくは「選曲と曲目に隠された秘密と謎」でご紹介します。

『日本経済新聞』 「南葵音楽文庫、収蔵品の一部を演奏で披露」

2009年1月23日付け『日本経済新聞』朝刊、「文化往来」(36面)で、今回のコンサート「麻布飯倉 南葵楽堂の記憶」と慶應義塾大学DMC機構の「音楽資源統合リポジトリー」プロジェクトが進める「南葵音楽文庫」所蔵資料のデジタル化が紹介されました。

『MOSTLY CLASSIC』 「慶応大学が南葵音楽文庫をデジタル化 ベートーヴェンの自筆譜など貴重な音楽資料」


2009年1月20日発売の『モーストリー・クラシック』3月号、98ページに、「麻布飯倉 南葵楽堂の記憶」コンサート実行委員会の母体である慶應義塾大学DMC機構の「音楽資源統合リポジトリー」プロジェクトが進める「南葵音楽文庫」のデジタル化に関する記事が掲載されました。

選曲と曲目に隠された秘密と謎 <2>

麻布飯倉 南葵楽堂に所蔵されていた南葵音楽文庫、なかでもカミングズ・コレクションに焦点をあてた日本初、いやたぶん世界初のコンサート開催にあたり、実行委員会の若手2名(ともに慶大大学院博士課程で音楽学を専攻)は、長時間かけてこの稀代のコレクションにふさわしい選曲に没頭しました。そればかりか大半の曲は、オリジナル資料から楽譜をあらたに作成しました。このコンサートは、演奏曲目や使用する版が日本初も多数含まれています。そこで、このような選曲になったワケ、各曲にひそんでいる謎や秘密を、ご紹介しましょう。

今回は、2月1日のコンサートの幕開けを飾るベックウィスについてご紹介します。ベックウィスは、今日ではほどんど知られていない作曲家ですが、どのような人物だったのでしょうか。



ジョン・‘クリスマス’・ベックウィス(1750‐1809(生年については異説あり))は、イングランド東部の町ノリッチに生まれ、オックスフォードのモードリン・カレッジで音楽を学びました。のちに故郷のセント・ピーター・マンクロフト教会やノリッチ大聖堂で聖歌隊長やオルガニストを歴任しています。「‘クリスマス’・ベックウィス」と呼ばれるのは、12月25日が彼の誕生日だったことに由来します。ただし、ベックウィス自身がこのニックネームを用いたことはなく、本コンサートで採り上げる《ヴォランタリー 第2番》の楽譜(南葵音楽文庫所蔵《オルガンまたはハープシコードなどのための6つのヴォランタリー》)でも、署名は単に「ジョン・ベックウィス」と記されています。

ヴォランタリーとは、教会の礼拝に際して演奏されるオルガンのための即興的な音楽のこと。教会オルガニストを務めていたベックウィスは即興演奏家として高名で、ヴォランタリーを得意としていました。雑誌『ジェントルマンズ・マガジン』に掲載された彼の死亡記事(1809年)でも、「その無類のヴォランタリーを創出する天分とその演奏スタイル」が讃えられています。

さて、今回演奏されるヴォランタリーは、ベックウィスがオックスフォードで音楽を学んでいた1780年に書かれ、ロングマン&ブロドリップ社から出版されました。ベックウィスは、幼い頃から音楽の才能を開花させたと伝えられていますが、この曲が作られた時期、彼の名は、まだそれほど広くは知られていなかったようです。楽譜に付されている予約購入者のリストを見ると、予約者のほとんどは、生まれ故郷ノリッチや彼が在学していたオックスフォードの人々でした(ちなみに彼の師匠であるフィリップ・ヘイズはこの楽譜を4冊も予約しています。なんとも微笑ましいですね)。

《ヴォランタリー 第2番》は2楽章構成で、ニ短調の短い前奏曲に同主長調の華麗なアレグロ楽章が続きます。曲は平明で未熟な部分もあるものの、今日ではベックウィスの代表作のひとつに数えられています。

ベックウィスはヘンデルのオラトリオを抜粋上演した際に、演奏に先立って自作のヴォランタリーを弾いてみせことがあったそうです。ヴォランタリーを聴きながら、巨匠たちが活躍したイギリス・バロックの世界に想いを馳せていただければ幸いです。

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